アイドル卒業後、彼女に向けられていたルックスへの偏見を根底から覆したのが、作品ごとに見せた体当たりの演技だった。映画『イニシエーション・ラブ』で見せた愛くるしいヒロイン像と、終盤で魅せる静かな狂気の落差は、観客の度肝を抜くサスペンス映画の秀作として高い評価を獲得した。
さらに、主演を務めたテレビドラマ『毒島ゆり子のせきらら日記』では、二股交際を断行する不穏で生々しい新聞記者役を怪演。濡れ場も辞さない覚悟と生々しい感情の発露は、かつてのアイドル像を完全に破壊した。この頃から映画界や批評家たちの間では、「前田敦子は本物の女優である」という認識が急速に広まっていった。