「延命治療を何ヶ月も続けたら、破産するような莫大な医療費がかかるのではないか」という不安を抱く方は少なくありません。結論から言えば、心肺蘇生、人工呼吸器管理、点滴処置、胃ろう造設などの処置費用は公的医療保険の適用対象です。
集中治療室(ICU)に入院して人工呼吸器や高度な循環管理を行った場合、保険適用前の総医療費は月額数百万円規模に達します。しかし、日本の公的医療制度には高額療養費制度が整備されているため、一般的な所得世帯であれば窓口での月額自己負担額は上限(約5万7600円〜8万円程度、75歳以上の後期高齢者で一般所得なら1万8000円〜5万7600円程度)に抑えられます。
ただし、真に見落としてはならないのは「保険適用外の諸経費」です。
・個室や2人部屋を利用した際の差額ベッド代(1日あたり数千円〜数万円)
・入院中の食事療養費やオムツ代、リネン代などの実費
・長期療養型病床や介護老人保健施設へ転院した際の施設利用費
延命治療が数ヶ月から年単位に及んだ場合、これらの雑費が毎月10万〜20万円近く積み重なり、家計に重い負担を強いる現実があります。経済的な観点からも、治療期間の長期化に伴うランニングコストを現実的に想定しておく必要があります。