なぜ職場で「したたかな人」は高く評価され、人間関係で得をするのでしょうか。そして、なぜ同じように頭を回転させているはずの人が「嫌われる人」へと転落してしまうのでしょうか。人事担当者への取材や組織心理学の観点から見ると、両者の間には残酷なまでに明確な境界線が存在します。
したたかな人の職場での評価が突出して高い理由は、彼らが「組織の力学」と「利害関係」を冷徹に把握し、摩擦を最小限に抑えながら最短距離で成果を出すからです。根性論で突っ走って自爆することなく、キーパーソンが誰であるかを見極め、必要なリソースを適切なタイミングで調達します。感情に流されず、常に状況を俯瞰して次の一手を打つ姿は、マネジメント層から見れば「もっとも計算が立ち、計算が狂わない頼もしい存在」に映ります。
一方で、したたかな人が嫌われる理由は、その計算のベクトルが「自分自身の保身と利益」だけに閉じている点にあります。周囲にいる計算高い人の見分け方として、以下の3つの観察ポイントが挙げられます。
第一に、「手柄の分配」です。愛される強かな人は、自分が主導した成果であっても、表舞台では「〇〇さんのサポートがあったからこそです」と周囲に花を持たせます。結果として周囲の自尊心を満たし、強固な味方を増やします。対して嫌われる計算高い人は、他人のアイデアを巧妙に自分のものとして報告し、失敗の責任だけを部下や同僚に転嫁します。
第二に、「態度の均一性」です。立場が上の相手にだけ愛想を振りまき、後輩や他部署のサポートスタッフをぞんざいに扱う人物は、短期的には出世しても、必ずどこかで足元をすくわれます。真にしたたかな人物は、利害関係が薄い相手にこそ礼節を尽くすことが、中長期的な自己防衛につながることを知悉しています。
第三に、「貸し借りの清算速度」です。信頼される人物は、他者から受けた恩義を決して放置せず、別の形で速やかに返済します。「ギブ・アンド・テイク」のバランスを崩さないため、搾取されることを恐れる周囲の人々も安心して協力関係を結ぶことができるのです。