組織の腐敗と隠蔽体質に終止符を打つきっかけを作ったのは、政治のトップ交代だった。2012年、当時歴代最年少の女性市長として当選した越直美氏は、就任直後から市教委の隠蔽体質を厳しく批判。教育委員会主導の調査を凍結し、市長直属の第三者調査委員会を立ち上げる異例の決断を下した。
行政のトップが教育委員会の独立性を越えて介入することは、教育行政において極めて異例の措置だった。だが、越直美市長によるこの英断がなければ、アンケートの全容解明も関係者の責任追及も実現しなかっただろう。第三者委員会には弁護士や精神科医らが加わり、徹底した聞き取り調査が実施された。
教育評論家の尾木直樹氏(尾木ママ)もメディアを通じて学校側の不誠実な対応を一貫して糾弾し、子どもの尊厳を無視した教育界の閉鎖性を激しく批判した。調査報告書は最終的に、学校と教育委員会の過失といじめの直接的な因果関係を明確に認定。保身のために子どもを見殺しにした組織の罪を浮き彫りにした。