圧倒的な絶景を誇る第三展望台ですが、旅程を組む上で決して見落としてはならない構造的リスクと歴史的背景が存在します。
半年近く閉ざされる「冬季通行止め」の厳格な現実
道道52号(屈斜路摩周湖線)のうち、第一展望台から川湯温泉へと抜ける区間は、急カーブと険しい崖が連続する難所です。そのため、北海道開発局およびオホーツク総合振興局により、毎年10月下旬から翌年4月下旬(年によっては5月上旬)まで冬期全面通行止めが実施されます。
この期間中、第三展望台へは自家用車・レンタカーでの進入が一切不可能です。スノーシューによる過酷なバックカントリー雪山登山を行わない限り辿り着けません。「冬の白銀に染まる摩周湖を第三展望台から見よう」と計画してもゲートで阻まれることになるため、冬季観光の場合は通年除雪が行われている第一展望台一択となります。
なぜ「第二展望台」は地図から消え去ったのか?閉鎖の真相
現地を訪れる観光客から頻繁に投げかけられるのが、「第一と第三があるのに、なぜ第二展望台が存在しないのか?」という疑問です。
かつて第一展望台と第三展望台の中間、外輪山の尾根に「摩周湖第二展望台」が実在していました。昭和30〜40年代の観光ブーム期には多くのバスが停車していましたが、崖っぷちの極めて狭小なスペースに設置されていたため、大型観光バスのすれ違いによる大規模な交通渋滞や追突事故が頻発しました。
さらに、外輪山の崩落リスクや観光客の転落事故の危険性が地質工学的な調査によって指摘され、安全確保が困難であるとの判断から1960年代末に閉鎖・撤去されました。現在は舗装跡や展望柵の痕跡がわずかに残るのみで立ち入りは禁止されており、自然へと還りつつあります。現在の第三展望台は、この第二展望台の閉鎖を受け、より安全で広大な展望スペースを確保するために拡張・整備された経緯を持っています。