幕末の会津藩において、誰よりも早く世界の潮流を見据えていた先覚者・山本覚馬。彼がいなければ、後に「幕末のジャンヌ・ダルク」と称される妹・八重(綾瀬はるか)の覚醒はあり得なかった。文武両道に秀で、蘭学や砲術を修め、藩の軍制改革を主導した覚馬の開明性と、会津武士としての不器用なまでの忠義心。この二面性を、西島は見事な陰影をもって体現してみせた。
物語の前半、八重をはじめとする若者たちに向ける眼差しは温かく、同時に峻厳だ。理不尽な時代の波に呑まれながらも、常に未来を見据えて思考を止めない。その姿勢こそが、敗者として描かれがちだった会津の物語に、普遍的な人間の尊厳と知性の光を灯した。