この価値観の転換は、巨大な化粧品産業をも大きく動かしている。かつて市場の片隅に存在していた「メンズコスメ」は、青ひげやニキビ跡を隠すコンプレックス解消型の商品が中心だった。しかし現在、市場を席巻しているのは、性別を問わず誰もが手に取れる洗練されたジェンダーニュートラルビューティーのプロダクトだ。
業界の旗手である『FIVEISM × THREE』が打ち出したミニマルで構築的な世界観や、株式会社資生堂が推進する多様性を尊重したブランド戦略は、プロダクトのパッケージデザインから売り場のあり方までを一新させた。コスメセレクトショップの代表格である@cosmeの店頭でも、男性用・女性用という区分けを撤廃したシームレスなディスプレイが標準化しつつある。手に取る理由に、もはや性別の言い訳はいらない。