アニメや原作漫画のファンであれば、誰しも一度はあの不気味なシルエットを目にしたことがあるはずだ。真っ白なお腹とつぶらな瞳、可憐なピンク色の毛並みを持つウサギのぬいぐるみ。一見すると至って愛らしいその姿は、ひとたび感情が爆発すると痛烈な打撃を受ける運命を背負わされている。
『クレヨンしんちゃん』という明るい世界観の中に突如として挿入されるシュールで陰惨な構図。このギャップこそが、視聴者の心理に強烈な違和感を植え付ける。本来なら癒やしの象徴であるはずの存在が、人間の負の感情を吸い上げる依代(よりしろ)へと変貌を遂げる瞬間、物語は独特の怪異譚へと昇華するのだ。