主君である第10代将軍・徳川家治からの絶大な信任も、政策を推し進める大きな推進力となった。将軍側近の側用人から老中へと上り詰めた田沼は、実務能力に長けた人材を次々と抜擢した。特に財政の現場を仕切る勘定奉行には、専門知識を持つ優秀な官僚を配し、行政組織の効率化と高度化を図った。
蝦夷地(現在の北海道)の開発構想や、印旛沼・手賀沼の干拓事業による新田開発など、田沼の指揮下で進められた大型インフラ投資は多岐にわたる。幕府の権威を再構築するため、米一辺倒の古い枠組みを破壊し、官民連携による大規模な事業を果断に実行した政治手腕は、近代的な財政官僚の先駆けと言っても過言ではない。