全国的な販売低迷に直面した明治は当初、ブランド自体の完全終了(全面的な販売中止)も選択肢に入れて協議を重ねていました。その中で「カール」という歴史的資産を存続させるために下された苦渋の決断が、生産拠点の集約と西日本エリアへの限定特化でした。
従来は全国5カ所の委託・自社工場で分散生産を行っていましたが、2017年秋以降、愛媛県松山市に拠点を置くグループ子会社「四国明治」の松山工場1拠点のみに製造を一元化しました。ここで決定打となったのが、スナック菓子特有の「ロジスティクス問題」です。スナック菓子は軽量でありながら容積が極めて大きく、物流業界ではいわば「空気を運んでいる」状態に近くなります。松山工場から長距離トラックで関東・東北・北海道へ輸送する場合、売上単価に対して輸送費が極端に跳ね上がり、採算を維持することが物理的に不可能だったのです。
その結果設定されたのが、現在の「カールの販売地域境界線」です。具体的には、滋賀県・京都府・奈良県・和歌山県より西側の2府21県(近畿・中国・四国・九州・沖縄)に流通が絞り込まれました。中京エリアの三重県や岐阜県、北陸の福井県は販売エリア外となり、滋賀県の県境付近にあるスーパーや高速道路のサービスエリアでは、現在も東日本側からのドライバーがまとめ買いをする光景が日常化しています。
また、全国展開時代に親しまれた「カールカレーあじ」や大人向けサブブランドは生産ライン集約の過程で惜しまれつつ生産終了となり、現在は西日本市場で圧倒的支持を集める「カールチーズあじ」と「カールうすあじ」の2大看板にリソースが集中されています。