三島由紀夫の周辺でひときわ強い光を放つ存在が、美輪明宏(当時は丸山明宏)です。銀座のシャンソン喫茶「銀巴里」で若き日の美輪を見出した三島は、その類まれな美貌と知性に強く惹かれ、戯曲『黒蜥蜴』の主役に美輪を指名しました。舞台は大成功を収め、三島が美輪に両手いっぱいの深紅の薔薇を捧げたエピソードはあまりに有名です。
ふたりの間に肉体関係があったのかという点については、多くのファンや研究者が関心を寄せてきました。しかし、三島由紀夫と美輪明宏の関係の真相について美輪本人は後年、「プラトニックな友情であり、美と知性の共犯関係だった」と繰り返し語っています。三島にとって美輪は、単なる欲望の対象ではなく、自らが理想とする究極の「美の化身」であり、魂のレベルで共鳴し合える唯一無二の理解者でした。