奥田瑛二の妻である安藤和津の生い立ちは、日本の近代史と深く交差している。彼女の祖父は「憲政の神様」と称され、五・一五事件で倒れた第29代内閣総理大臣・犬養毅その人だ。父である犬養健もまた法務大臣や小説家として活躍した知性派の人物であった。
この重厚な歴史的背景を持つ家柄に生まれた安藤和津は、国際的な感性と豊かな表現力を備えた執筆家として多方面で活動を展開。型破りな情熱を持つ奥田瑛二との出会いは、異なる才能と気品が融合する出来事だった。奥田自身も妻のルーツが持つ文化的・歴史的な厚みに強い敬意を払いながら、自身の表現活動を深めていった歴史がある。