メディアや一般市民からの絶大な人気とは裏腹に、山岳界内部での評価はきわめて厳しいものだった。日本山岳会に所属する熟練クライマーや専門家たちは、彼が唱える「単独無酸素」の定義や、登山家としての技術力に対して早くから疑問を呈していた。
本来の登山・アルピニズムの観点から見れば、シェルパによるルート工作や荷揚げのサポートを受けながら「単独」と称することや、秋季という最も困難な気象条件を選ぶことへの批判は絶えなかった。スポンサー受けを狙った過剰なアピールと、安全管理や技術的リアリティとの乖離。この「専門家からの孤立」が、彼の葛藤をさらに深める要因となった。