サウンド面において、本作は日本の邦楽ロックの既成概念を打ち破る緻密な実験に満ちている。重く歪んだギターのバッキング、地を這うようなベースライン、そして感情の振幅に過敏に連動するドラムワーク。オルタナティヴ・ロックのダークな質感を極限まで高めたアンサンブルが、曲全体を重厚な緊張感で包み込む。
特筆すべきは、静けさと爆発音の対比を生かしたダイナミクスのコントロールだ。野田洋次郎の囁くような歌唱から一変し、サビで感情が一気に破裂する音響演出は、スタジオでの過酷な試行錯誤の賜物である。音の余白すらも恐怖や孤独を表現する媒体として計算し尽くされている。