保安検査場の締め切りを通過できさえすれば飛行機に乗れる、と誤解している乗客は少なくありません。しかし、そこから搭乗口(ボーディングゲート)までの道のりにも、乗り遅れを引き起こす数々の「構造的トラップ」が潜んでいます。
最大の盲点が、巨大空港における保安検査場から搭乗口までの移動距離です。例えば羽田空港第2ターミナル本館から、別棟として建設されたサテライト(46〜48番ゲート方面)や北ピア・南ピアの最端ゲートまでは、動く歩道を乗り継いでも徒歩で8〜12分を要します。搭乗口の改札は「出発10分前」に締め切られるため、仮に保安検査場を出発20分前のリミットぎりぎりに通過できたとしても、ゲートまでの移動に10分以上かかれば、搭乗ゲートに到着した瞬間に無情にもドアがクローズされている計算になります。
万が一、飛行機に乗り遅れてしまった場合の対処法と金銭的ダメージも把握しておく必要があります。乗り遅れの主な理由は「交通機関の遅延」「手荷物預けの混雑」「保安検査場の通過遅れ」の3大要因に集約されますが、その責任所在によって航空会社の対応は180度分かれます。
空港に向かうJRや私鉄、モノレールなどの公共交通機関が遅延した場合、鉄道会社が発行する「遅延証明書」を空港カウンターに提出すれば、ANAやJALなどの大手航空会社では後続便への無償振り替えや手数料なしでの払い戻しに応じてくれるケースが一般的です。しかし、道路渋滞に巻き込まれた空港リムジンバスや自家用車の遅延、あるいは「単に空港内でのんびり買い物や食事をしていた」という個人の過失による乗り遅れは救済対象外となります。
さらにシビアなのがLCCです。多くの格安航空会社では、いかなる理由であれ指定時刻に現れなかった乗客の航空券は紙くずとなり、後続便への変更には高額な手数料と運賃差額の支払いが求められます。安さを求めてLCCを選んだにもかかわらず、乗り遅れたことで当日普通運賃を払い直す羽目になり、大手の数倍の出費を強いられるケースが後を絶ちません。