事件の火種は、ある内部通報から始まった。防衛省内部の保全監察部門がマークしていたのは、数年前に退官した元自衛官の男性だ。この男が、港区元麻布に位置する駐日中国大使館の防衛駐在官らと複数回にわたり都内の飲食店や潜伏先のホテルで会合を重ねていたデータが浮上した。防衛省の最新調査ファイルによれば、接触は単なる意見交換のレベルを超え、特定の記録媒体や紙媒体の受け渡しが行われていた疑いが濃厚とされている。
当局が特に問題視しているのは、この元隊員が在職中にアクセス権限を持っていた高度な防衛情報だ。調査関係者は語る。「退職後も元同僚や現役幹部と接触を続け、巧みに最新の作戦運用情報を聞き出そうとしていた形跡がある」。暗闇のなかで交わされた会話の録音データや位置情報の記録は、国家の安全保障を揺るがしかねない「不可解な密会」の実態を冷酷に物語っている。