くしゃみ・鼻水・目のかゆみといった花粉症の主症状は共通していますが、臨床現場では花粉症症状の違いとピーク時期における特有の訴えが確認されています。特にヒノキ花粉の時期になると急増するのが、ヒノキ花粉の喉の痛みと咳症状です。
ヒノキの花粉粒子はスギ花粉(直径約30〜40μm)と同等かやや小さく、気候が乾燥して暖かくなる4月に飛散するため、破砕されて微小粒子(Paucimicronic particles)となりやすい傾向があります。この破砕微粒子が気管支や喉の粘膜深くに到達し、咽頭炎に似た激しいイガイガ感や長引く咳発作を引き起こす要因となります。
さらに注意が必要なのが、スギ花粉症とヒノキ花粉症の交差反応です。スギ主要アレルゲン「Cry j 1」とヒノキ主要アレルゲン「Cha o 1」は、アミノ酸配列の相同性が約80%と非常に高いため、免疫システムが両者を同一視して抗体反応を起こします。スギ花粉症患者の約7割がヒノキ花粉症を併発しているとされる背景には、この分子レベルの構造類似性が深く関わっています。