男爵の放つ圧倒的なカリスマ性を語る上で、避けて通れない先達がいる。かつて銀巴里から日本中を震撼させ、美と知性を武器に旧弊な価値観を粉砕した美輪明宏だ。男爵の所作や言葉選びの端々には、その強烈な美意識の遺伝子が色濃く宿る。
同時に、アンダーグラウンドで独自の進化を遂げてきた日本のドラァグクイーン文化が持つ、批評性と祝祭性も見事に昇華されている。けばけばしい装飾の裏にある冷徹な知性。弱者を包み込みながら強権を笑い飛ばすアイロニー。単なる物真似やパロディではない、古典と現代サブカルチャーが火花を散らすハイブリッドな表現がそこにある。