宝生舞の名を語る上で絶対に外せないのが、1999年に公開された映画『富江』だ。伊藤潤二の伝説的カルト漫画を実写化したこの作品で、彼女はタイトルロールである魔性の美少女・富江を演じた。男たちを狂わせ、殺されてもなお再生を繰り返す怪物——そんな常軌を逸したキャラクターを、彼女は完璧な美しさと底知れぬ怖さで表現してみせた。
東映株式会社が配給を手掛けたこのホラー映画は、その後の邦画ホラーブームの礎となった。宝生舞が見せた無機質でありながら官能的な演技は、「富江=宝生舞」という不可逆なイメージを決定づけた。 CGや特殊メイクに頼り切らない、目線の動き一つで観客の背筋を凍らせる怪演。日本のホラー映画史において、彼女が残した足跡は今も金字塔として輝いている。