現在、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)での研究発信などを通じて、実務家や政策立案者へ向けた発言が続けられている。厚生労働省が推進する労働法改正の議論においても、彼の提起した「限定正社員(職務・勤務地限定正社員)」の概念は欠かせないアジェンダとなった。
労働政策・人材法務業界が直面しているのは、従来の「正規 vs 非正規」という二項対立の終焉である。同一労働同一賃金の法制化が進む一方で、業務内容に見合う適正な報酬体系と、解雇や配置転換における透明性の確保が強く求められるようになった。厚生労働省が法改正の舵を切る背景には、グローバルな競争力維持と国内労働力の確保という切迫した課題がある。制度改正が実効性を持つかどうかは、現場の労使がどれだけ具体的に「職務」を明確化できるかにかかっている。