テレビドラマの最高視聴率記録を次々と塗り替えていた時代の狂騒から、彼女は決して流されることなく、独自のスタンスを築いてきた。2000年代半ば以降、本格的に映画の世界へ軸足を移し、大林宣彦監督作品をはじめとする骨太な映画作品や、小劇場から大劇場までの舞台公演に果敢に挑戦。単に「スポットライトを浴びる存在」であることを望まず、一人の表現者として現場の空気に浸り、演出家や共演者と深く対話しながら作品を創り上げる喜びを選び取ったのだ。
その転換期について、彼女自身も「役を演じることの根底にある手触り感を求めていた」と明かしたことがある。テレビという巨大なメディアの第一線で走り続けたからこそ得られた直感と、ミニシアター系映画や舞台の現場で培った愚直なまでの演技への探求心。この両輪が、現在の彼女を支える揺るぎない土台となっている。