大手下着メーカーの研究開発機関や美容形成外科の臨床現場において、おわん型が「理想のシルエット」として支持を集め続ける背景には、視覚的な美観だけでなく物理学・解剖学に裏打ちされた合理性があります。
乳房の美しさを定義する指標として国際的にも用いられる「バストの黄金比率」では、鎖骨の中心と左右のトップバストを結ぶラインが綺麗な正三角形を描くことが基本とされます。さらに側面から観察した際、鎖骨中心から乳頭までの傾斜と、乳頭からアンダーバスト(バージスライン)のカーブが「4対3」または「5対5」の均質な比率を描く状態こそが、最も安定感と立体感をもたらす数値設計です。
おわん型はこの黄金比率を構造的に満たしやすく、胸骨に対して広めの底面積(バージスライン)を持ちながら、上部から下部にかけてなだらかかつ弾力に富んだカーブを描きます。上胸が削げにくく、乳頭が自然と正面からやや上方を向くため、どのようなネックラインの衣服を纏ってもデコルテに上品なハリと陰影が生まれます。単にカップ数が大きいことよりも、プロポーション全体と調和する「形の完成度」こそが、時代を超えて選ばれる決定的な理由です。