飛騨高山レトロミュージアムの最大の特徴は、一般的な博物館にありがちな「お手を触れないでください」という境界線を徹底的に排除している点にあります。館内に一歩足を踏み入れると、昭和20年代から50年代にかけての日本の日常生活がリアルなスケールで再現されており、来館者はその空間の「登場人物」として自由に過ごすことができます。
特に反響が大きいのが、木造校舎の教室を忠実に再現した飲食スペースで味わう給食メニューです。アルマイト製の食器に盛られた揚げパンやソフト面、ミルメーク付きの瓶牛乳など、かつて学校で誰もが口にした懐かしい味が忠実に再現されています。40代以上の世代にとっては胸を締め付けられるような郷愁を誘い、給食がプラスチック食器やトレイに変わった若い世代にとっては、新鮮な食文化体験として映っています。
さらに、館内の駄菓子屋スペースやレトロゲームコーナーでは、インベーダーゲームやテーブル型のビデオゲーム、昭和の手打ちパチンコ台などが追加料金なし(フリープレイ)で稼働しています。ガラスケース越しに眺めるのではなく、ダイヤル式電話の受話器を上げ、レバーを叩き、ブラウン管テレビのチャンネルをガチャガチャと回す感覚そのものが、来館者に強烈なリアリティを提供しています。