周りが彼の面白さに気づく前から、その天性の才能を確信していた人物がいる。事務所の大先輩であり、師と仰ぐ関根勤だ。関根は、まだ世間が無名時代の彼を評価していなかった頃から「飯尾は絶対に面白くなる」「あいつのセンスは本物だ」と絶賛し、自らの番組や舞台に積極的に起用し続けた。
関根の教えはシンプルだった。「自分の好きなこと、楽しいと思うことを信じろ」。誰かを傷つけたり、落としめたりして笑いを取るのではなく、誰も置いていかない平和的でチャーミングな笑い。この精神は、飯尾の芸風の根幹に深く根を張ることになる。
昨今のお笑い芸能界では、コンプライアンスの強化やハラスメントへの意識が高まり、バラエティ番組の作り方自体が大きな転換期を迎えている。強い口調の毒舌や過度なイジリが敬遠される時代において、彼の持っている「誰も嫌な気持ちにさせない笑い」は、制作陣にとって喉から手が出るほど欲しい要素だ。関根が見抜いていた彼の優しさとセンスは、時代の要請と完全に見事に合致したのである。