お笑いコンビ「インパルス」として爆発的な人気を博した時代、彼らのつくり出すコントは異次元の精度を誇っていた。日常の滑稽さを突き抜け、どこか不条理でダークな世界観。そのブレインとしてネタを書き続けていた板倉俊之の才能が、やがて活字の世界へと溢れ出したのは必然だったと言える。
芸人が書くタレント本という生易しい枠組みを、彼は最初の著書で打ち砕いた。緻密なプロット、息をのむ展開、そして極限状態におかれた人間の心理描写。お笑い芸能界で培われた緻密な構成力は、小説というキャンバスの上で新たな命を得ることとなった。