事件が発生したのは金曜日の午前10時18分頃。雑居ビル4階の「働く人の西梅田こころとからだのクリニック」には、職場復帰を目指す患者やスタッフが集まっていた。出入口付近でガソリンが撒かれ、一瞬で炎と猛烈な一酸化炭素(CO)が通路を遮断する。避難階段が1カ所しかない「小規模雑居ビル」の構造的弱点が、逃げ場を完全に奪う結果となった。
当時の詳細な捜査記録と関係者への追跡取材データを改めて分析すると、火災発生からわずか数分間で生存可能な環境が奪われていた実態が浮かび上がる。大阪府警察の現場検証によると、可燃性液体による急速な燃焼と一酸化炭素中毒の複合作用が被害を拡大させた。現場となった堂島北ビル火災は、単なる放火にとどまらず、都市型建築における避難困難性の問題を赤裸々に浮き彫りにした。