『何かおかしい』の屋台骨を支えているのは、YouTubeやオモコロでカルト的な人気を誇るウェブライター・雨穴氏の研ぎ澄まされた発想力です。『不動産ミステリー 変な家』のメガヒットで広く知られる同氏ですが、本作における雨穴元ネタのギミックもまた、間取り図や音声データといった客観的な証拠から論理的に恐怖を導き出す独自の「ロジカルホラー」手法が全開となっています。
テレビ東京のドラマ制作陣は、この雨穴氏のデジタルネイティブな作家性を損なうことなく、地上波放送の枠組みを拡張する実験的なアプローチを敢行しました。象徴的なのが放送と配信のタイムラグを逆転させたメディア戦略です。当時の公式発表資料によると、Paravi(現U-NEXT)での先行有料配信に加え、公式YouTubeチャンネルにて第1話をフル尺で無料先行公開。これが瞬く間に話題を呼び、第1話のYouTube再生回数は100万回を突破しました。
地上波放送を「最終確認の場」と位置づけ、事前にYouTubeやSNSで考察コミュニティを熱狂させる手法は、従来のテレビドラマの枠組みを大きく更新しました。動画の再生バーを戻して不気味な背景を確認したり、一時停止してブース内のメモを解読したりといった、視聴者の能動的な参加を促す仕掛けこそが、本作を単なる深夜ドラマから社会現象へと押し上げた原動力です。