夏になると「涼しそうだから」「毛が抜けるから」という理由で、愛猫の被毛を短く刈り上げるサマーカットを検討する飼い主が少なくありません。しかし、多くの獣医師は特別な医療的理由(重度の毛玉や皮膚炎など)がない限り、安易なサマーカットを推奨していません。
猫の被毛は「天然の断熱材」の役割を果たしています。外の熱気を遮断し、冷房による冷えすぎを防ぐシールドとなっているため、毛を短く刈り込んでしまうと直射日光や室内の熱気が直接皮膚に届き、かえって体温が上昇しやすくなります。さらに、強い紫外線による皮膚炎のリスクや、バリカンによる刺激で毛質が変化したり毛が生え揃わなくなったりする「毛刈り後脱毛」に後悔するケースも珍しくありません。
サマーカットよりも圧倒的に安全で効果的なのが、換毛期に合わせた毎日の丁寧なブラッシングです。アンダーコート(下毛)の死毛をしっかり取り除いてあげるだけで、被毛内部の通気性が劇的に向上し、体熱がこもるのを防ぐことができます。スリッカーブラシやアンダーコート専用のファーミネーターなどを活用し、皮膚を傷つけないよう優しくケアを施してください。