この場所の歴史を語る上で欠かせないのが、戦後リベラルアーツの礎を築いた矢内原忠雄の理念である。専門分化が進む時代だからこそ、幅広い教養と批判的精神を養う場としての図書館が必要であるという哲学は、今も館内の随所に息づいている。
東京大学総合文化研究科・教養学部が位置する駒場Iキャンパスにおいて、同館は単なる本棚の集積ではない。教養教育を支える強固な学術情報基盤として、文理の枠を超えた幅広い知のネットワークを形成し続けている。伝統的な人文学から最先端の自然科学までを架け橋する役割は、今後さらに重要性を増していくはずだ。