ネット上では緊急地震速報の音に関して、根拠のない都市伝説や事実誤認が時折拡散されます。ここで客観的証拠に基づき、代表的な誤解を是正しておきます。
誤解1:「国民を怯えさせるため、わざと最も不快なノイズを合成した」という噂
これは完全な誤りです。前述の通り、伊福部達教授が目指したのは「パニックの防止」でした。あまりに攻撃的なサイレン音は集団パニックを引き起こす危険があるため、あえて音楽的な和音構造をベースにしつつ、覚醒作用を高める周波数を緻密にブレンドして開発されたのが歴史的事実です。
誤解2:「マナーモードにしておけばどのスマホでも鳴らない」という思い込み
これも非常に危険な誤認です。緊急地震速報(ETWS規格)は、マナーモードを迂回してスピーカー出力を強制的に最大化するプロトコルが標準化されています。静粛が求められる映画館や冠婚葬祭の場であっても、エリア内に警報が発令されれば一斉に鳴り響きます。
誤解3:「音が鳴った瞬間にすぐ揺れが来るはずだから、鳴らない時は誤報である」という見解
直下型地震のように震源が極めて浅く直近にある場合、地震波(主要動のS波)の伝播速度に速報システムの計算・送信が追いつかず、激震と警報がほぼ同時、あるいは揺れた後に鳴ることがあります。これはシステムの故障ではなく、物理的な限界(ブラインドゾーン)による現象です。