撮影現場では、原作の持つ静謐さと感情の昂ぶりを表現するため、緻密な試行錯誤が繰り返された。特に語り草となっているのが、アイのトレードマークであるショートカットヘアだ。西野七瀬は役作りのために自身の長い髪を約20センチもバッサリとカット。天野アイというキャラクターへの並々ならぬ覚悟でクランクインに臨んだという。
共演の野村周平との掛け合いも、計算し尽くされたライブ感に満ちていた。ビデオから再生されたばかりのどこか不器用な動きや、感情が芽生えていくプロセスの微妙な間合い。カメラが回っていない時間でも二人は自然体で言葉を交わし、スクリーンから溢れ出るような独特の空気感を醸し出した。当時のテレビ東京の制作チームも、ノスタルジーとリアリティが同居する映像美を徹底的に追求。照明や小道具の細部に至るまで過酷なまでのこだわりを注ぎ込んだ。