顎変形症とは、上顎や下顎の大きさ・位置・形状のアンバランスによって、深刻な噛み合わせの障害や顔面の歪みが生じる状態を指す。単なる見た目の問題ではなく、食事の咀嚼困難、発音障害、顎関節症、さらには睡眠時無呼吸症候群など、全身の健康に悪影響を及ぼす病態だ。
専門学会である「日本顎変形症学会」のガイドラインによれば、治療は原則として「術前歯列矯正」「外科的矯正手術」「術後歯列矯正」の3つのステップを踏む。骨の位置を移動させる外科手術(ルフォーI型骨切り術や下顎枝矢状分割術など)だけでなく、その前後で歯並びを噛み合わせの新しい位置に最適化する歯列矯正が不可欠となる。
重要なのは、厚生労働省が指定する特定疾患や自立支援医療指定医療機関において、指定された症例であると診断された場合、健康保険の適用が可能となる点だ。単なる自費診療の美容整形とは一線を画し、厚生労働省の定めた医療基準に沿って保険診療として外科的矯正手術を受けられる環境が整えられている。