「たかが1〜2単位の空打ち不足」と軽視してはならない。空打ちを行わずに注入ボタンを押した場合、針内に残った空気がクッションの役割を果たし、設定したインスリンが全量注入されない現象が発生する。
糖尿病専門医は、原因不明の血糖値高値が続く患者の原因を探る際、まず空打ち手技の再確認を行うという。空打ち不足による「未投与」は、患者自身が薬効不足と勘違いし、自己判断で設定単位数を増やしてしまうという最悪の二次被害を引き起こす。
逆に、気泡が抜けた次の注射で想定以上のインスリンが体内に一気に注入され、重篤な低血糖を引き起こす事例も報告されている。日本糖尿病学会が提示する症例報告でも、空打ち手技の不徹底が思わぬ低血糖事故の原因として特定されるケースが後を絶たない。