彼女の物語は、あまりにも残酷な幼少期から始まる。親からの虐待、そして人身売買。心を壊すことでしか生き延びられなかった彼女にとって、感情を捨てることは唯一の防衛策だった。そんな彼女を救い出したのが、胡蝶カナエとしのぶの姉妹だ。
しかし、救われた後も彼女は自分で決断を下すことができなかった。そこで与えられたのが、一枚の銅貨。迷ったときはコイントスで決める。この一見すると奇妙なルールが、彼女の閉ざされた世界の唯一の窓口となった。指示を待つだけだった少女が、少しずつ自分の内面と向き合うための、それは不器用な第一歩だったのだ。