新しい波が寄せる一方で、昭和の面影を色濃く残す純喫茶も異例の賑わいを見せている。名古屋市千種区の老舗店。赤い革張りのソファ、ほのかに煙草の残り香と珈琲が混ざり合う空間、ベルベットのカーテン。ここで目立つのは、意外にも10代から20代の若者たちだ。
「この重厚感が、逆にすごく新鮮なんです。静かで、スマホを置いて空間そのものを楽しめる」
大学帰りに立ち寄ったという20代の客は、そう言って琥珀色のクリームソーダに添えられたチェリーを突き刺した。店主が一杯ずつネルドリップで淹れる深煎りブレンドは、コクが深く濃厚だ。デジタル過多の毎日に疲れた現代人にとって、時間を忘れさせる昭和のアナログ空間は、ある種の癒やし空間として機能している。古き良き喫茶文化を再評価する動きは、もはや一時的なブームではなく、確固たるライフスタイルとして定着した。