現場となったのは、東北自動車道・浦和IC近くに位置する、近年リニューアルされたばかりのブティックホテル。このホテルでは、フロントを通らずにチェックインから退室までをスマートフォン一台で完結できる完全無人化システムを導入していた。しかし、当日の午前2時過ぎ、サーバーへの局所的なDDoS攻撃、あるいはシステム内部の同期エラーが発生。すべての客室のドアロックが強制施錠され、同時に「火災発生、直ちに避難してください」という誤アナウンスが館内に響き渡った。
「煙が出ているかもしれない」という極限の恐怖の中、衣服を探す時間すらなかった被害男性は、非常口の扉をこじ開けて外へ飛び出すしかなかった。外気温わずか5度の冷え込む夜、彼を待ち受けていたのは、無情にもロックされた非常扉と、通りがかりの車からの冷ややかな視線だった。