ネット上やSNSでは今なお「デヴィ夫人の若い頃の写真」がその圧倒的な美貌で話題になりますが、その華やかな姿の裏側には、家族を背負った少女の血のにじむような覚悟がありました。
中学卒業後、昼間は千代田区の第一生命保険で働きながら、夜間は三田高校の定時制課程に通う生活を送っていた七保子さん。しかし、薄給のOL給与だけでは、足の不自由な母・政子さんの治療費と、成績優秀な弟・八曾男さんを大学に進学させるための学費を到底賄うことはできませんでした。
そこで彼女が飛び込んだのが、当時「東洋一のナイトクラブ」と称され、各国の外交官や海外セレブが集っていた赤坂の高級クラブ「コパカバーナ」でした。
コパカバーナでの経歴において、七保子さんは単なるホステスにとどまらず、英会話を独学でマスターし、国際情勢や社交マナーを徹底的に身につけました。客として訪れていた各国のVIPからも一目置かれる存在となり、その知性と類まれな容姿が、やがてスカルノ大統領との運命的な出会いへとつながっていったのです。
デヴィ夫人にとって、夜の世界へ入ることも、海外の国家元首へ嫁ぐことも、すべては「母に贅沢をさせてあげたい」「弟に最高の教育を受けさせたい」という、家族を救い出すための一途な願いがすべての動機でした。