顔の皮膚、とりわけ眼瞼(まぶた)の周囲や頬の極めて薄い部位に多発する直径1〜2ミリメートル程度の硬い白色・黄白色の丘疹。これが稗粒腫(はいりゅうしゅ)です。外見から「脂肪の塊」と誤解されるケースが散見されますが、組織学的な中身は皮脂ではなく、皮膚の代謝物である「角質(ケラチン)」が球状に凝縮されたものです。
皮膚科学会の臨床データおよび専門医の知見によると、稗粒腫は発生要因によって大きく「原発性」と「続発性」の2つに分類されます。
第一に原発性稗粒腫は、毛包(毛穴)の漏斗部や未発達な脂腺胚から自然発生するタイプです。肌のターンオーバーの乱れや体質的な要因によって、本来であれば皮膚表面から垢となって剥がれ落ちるはずの古い角質が、表皮の直下に袋状の構造(嚢腫腔)を形成して閉じ込められてしまうことで生じます。
第二に続発性稗粒腫は、皮膚が何らかの外傷やダメージを受けた修復過程で発生するタイプです。具体的には、軽いやけど、擦過傷、水疱症などの治癒後、あるいはステロイド外用薬の長期使用によって皮膚が菲薄化した部位に現れます。また、クレンジング時の強い摩擦や、アイメイクを落とす際の過度な擦り刺激が微小な表皮欠損を引き起こし、角質嚢腫の形成を促すケースも臨床現場で数多く報告されています。