この異様な育児スタイルの主は、南米に生息するピパ科(Pipidae)の無尾類、通称ピパピパ(コモリガエル)だ。見た目は完全に平べったく、まるで泥水に沈んだ枯葉のような擬態をしている。舌も歯もなく、獲物は指先の微小な感覚器で感知して丸呑みにする原始的な両生類(Amphibia)の一種だ。
背中が「閲覧注意」と呼ばれる最大の理由は、産卵後のメスの皮膚構造にある。受精卵が背中に密着すると、メスの背皮組織が急速に肥厚し、卵を一つひとつ包み込むようにカプセル状のポケット(保育嚢)を形成する。皮膚細胞は毛細血管を急速に伸ばし、卵膜と密接に癒着。卵は母親の皮膚内部で保護され、外界の乾燥や捕食者から完全に遮断された状態で水分と酸素の供給を受け続ける。外見上は母親の背中に無数の穴が開き、皮膚そのものが生命のゆりかごへと変貌するのだ。