地上波テレビへの出演が制限されていた期間、彼女は決して歩みを止めていませんでした。むしろ映画、劇場アニメ、舞台、現代アート、音楽といった多岐にわたるフィールドで表現力を研ぎ澄ませ、表現者としての深みを格段に増しています。
その実力を世に見せつけた筆頭が、2016年公開の劇場アニメ『この世界の片隅に』です。主人公・すずの声を演じた彼女の演技は国内外で絶賛を浴び、第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞をはじめとする数々の栄誉に輝きました。声の表現力だけで観客の感情を揺さぶる力量は、批評家筋からも極めて高い評価を獲得しています。
実写映画における活躍も目覚ましく、主な映画出演作品では次々と鮮烈な足跡を残してきました。
映画『私をくいとめて』での第30回日本映画批評家大賞主演女優賞の受賞、さかなクンの半生を描いた『さかなのこ』での性別を超えた主演への抜擢、さらには自ら脚本・監督・主演を務めた映画『Ribbon』でのクリエイターとしての才能開花など、同世代の俳優の中でも突出した作家性と演技力を確立しています。テレビで見ない期間があったからこそ、彼女はインディペンデントな表現者としてのタフネスと真の実力を手に入れました。