長引くインフレと為替の変動は、人々の買い物に対する姿勢をより鋭利にした。無駄な支出は極限まで削る一方で、自分が心底納得したものには惜しみなく投資する。この「極端な二極化」が現在の消費トレンドを決定づけている。
安価な大量生産品で身の回りを満たす生活は、すでに魅力を失った。職人の手仕事が光る伝統工芸品、持続可能な農法で作られたオーガニック食材、あるいは限られた空間でしか味わえない音楽ライブや地域限定のイベント。タイムパフォーマンス(タイパ)を追い求めた現代人が最後にたどり着いたのは、時間をかけてじっくり味わう「一期一会の体験」だった。