近年の歴史において決定的な転換点となったのは、アジア映画の圧倒的な存在感だ。2018年、是枝裕和監督の『万引き家族』が見事に栄冠を射止め、血縁を超えた疑似家族の姿を通して現代日本の格差社会と孤立を浮き彫りにした。その視線は極めて静かでありながら、世界中の映画人の心を強く打った。
そして翌年、韓国のポン・ジュノ監督が手掛けた『パラサイト 半地下の家族』が続き、カンヌを、そして世界を熱狂の渦に巻き込んだ。ブラックコメディとスリラーが激しく交錯する圧巻の構成力で、世界的な貧困問題を描き切った同作は、その勢いのまま米アカデミー賞をも制覇。この連覇は、アジアのクリエイターたちが世界規模の映画産業の中心へと躍り出た瞬間として歴史に刻まれた。