本作を語る上で避けて通れないのが、作者である佐藤大輔の圧倒的な構想力だ。中央公論新社(C★NOVELS)等から刊行された原作小説は、緻密な地理的背景と政治的駆け引き、そして何より異能の存在を取り入れた「ダークファンタジー」と「架空戦記」の融合であった。
寒冷の地に侵攻する大国・帝国に対し、地理的アドバンテージとわずかな兵力で立ち向かう皇国軍。そこにあるのは、英雄譚によく見られる華々しい勝利ではない。補給線の破綻、寒気による凍傷、上層部の無能さと保身。徹底して「戦場の惨状」を現実に肉薄する精度で描写した世界観こそが、本作を特別な作品へと押し上げたのだ。