本作は、前編にあたる『初恋』と後編の『決意』で構成され、物語は二人の関係性の変化とともに大きくうねりを見せます。
前編『初恋』:同窓会の再会から始まった「都合のいいルール」
産婦人科医として多忙な日々を送る森下抄子は、過去の泥沼の恋愛で負ったトラウマから、特定の男性と真剣に向き合うことを避けて生きていました。ある日、高校の同窓会で初恋の相手である北田一樹と20年ぶりに再会を果たします。
一樹もまた結婚生活の破綻を経験し、心に空洞を抱えていました。惹かれ合う二人はホテルへ向かいますが、抄子が提示したのは「恋愛感情を持たず、互いの生活に干渉しないセフレ関係」という厳しいルールでした。「初恋の神聖な記憶」を守るためにあえて「ただの身体の関係」を選択したはずが、逢瀬を重ねるごとに、抑制していた独占欲や嫉妬、そしてかつての初恋の残り香が抄子の心を激しく締め付けていきます。
後編『決意』:崩壊する防壁と二人が選んだラストシーン
『決意』では、二人の閉ざされた聖域に外部の人間関係が容赦なく侵入してきます。一樹に接近する若い女性の影、そして抄子の前に現れる過去の因縁。もはや「割り切った関係」という都合の良い盾は機能しなくなり、二人は互いの剥き出しのエゴと向き合わざるを得なくなります。
クライマックスで抄子は、一樹への感情が「都合のいい逃げ道」ではなく、今もなお彼を愛しているという抗えない事実を自覚します。しかし、本作が選んだ結末は、甘いハッピーエンドの同棲や結婚ではありません。
抄子が下した真の「決意」とは、相手に依存して自分を見失うのではなく、自らの足で立ち、孤独を受け入れながら愛を抱き続けることでした。二人が交わす最後の会話は、未練と優しさが交錯しながらも、互いの尊厳(品格)を認め合う鮮烈な幕引きとなっており、多くの視聴者の胸に深い爪痕を残しました。