阿部寛の全身像を目にした誰もが抱く疑問が、「公称身長189cmという数字は、実寸よりも低く見積もられているのではないか」という身長逆サバ読みの疑惑です。日本芸能界では身長を数センチ高く申告するサバ読みが取り沙汰されるケースは珍しくありませんが、阿部寛の場合はその真逆の現象が語り草となっています。
この疑惑が生まれた背景には、かつて彼自身がトーク番組や自著『アベちゃんのバカ』などで吐露した、若手時代の切実な苦悩が存在します。昭和から平成初期のテレビドラマ界では、主演男優とヒロインの身長差は15cm前後の収まりが良いバランスが黄金比とされていました。160cm前後の主演女優が主流だった当時、190cmに迫る長身は「カメラの同一フレームに収まりにくい」「相手役の女優が見上げてしまい首が痛くなる」といった理由で、オーディションを落とされる直接の原因になっていたのです。
当時のキャスティング担当者の間では「大台の190cmを超えると、時代劇のセットの鴨居に頭がぶつかり、現代劇でも日常描写のリアリティを損なう」という不文律が存在しました。そのため、仕事欲しさに「なんとか180cm台にとどめたい」という制作現場への配慮から生まれた数字が、公式プロフィール現在も記載され続ける「189cm」という絶妙なラインでした。
報道関係者が集う映画完成披露試作会の現場でも、阿部寛のサイズ感は常に注目の的です。舞台挨拶に登壇した際、180cm前後の共演俳優と並んでも頭半分近く抜きん出ている光景は日常茶飯事であり、靴底の厚みを考慮しても「実測値は190〜192cm程度ある」と確信する映画関係者は少なくありません。本人は後年の取材で「若い頃は本当に嫌で猫背になっていたが、今はもう正確に測っていない」とユーモアを交えて語っていますが、この「大人の事情による逆サバ」こそが、彼の全身スタイルの規格外さを逆説的に証明しています。