地理学的には飛騨山脈と呼ばれるこの巨大な山塊は、富山・新潟・長野・岐阜の4県にまたがり、まさに日本の屋根として圧倒的な存在感を放つ。はるか昔の氷河削剥によって刻まれた鋭利な岩峰や壮大なカール地形は、世界的に見ても類を見ない自然の造形美だ。その中核をなす中部山岳国立公園は、貴重な高山植物やライチョウが生息する日本屈指の自然保護区として大切に守られている。
天に向かって一筋の槍のようにそびえ立つ標高3,180メートルのシンボル、槍ヶ岳。そして、険しい岩肌と日本有数の大壁で経験豊富なハイカーをも唸らせる穂高岳。これら日本を代表する巨峰たちの山頂に立ったとき、眼下に広がる雲海と果てしない連峰のパノラマは、登り切った者だけが得られる至高のご褒美だ。