大井造船作業場への配属は、受刑者にとって仮釈放への近道であり、通常であれば脱走のリスクを冒すメリットは皆無に等しいとされています。にもかかわらず、なぜ平尾受刑者は逃走を図ったのか。逮捕後の取り調べや公判で明かされた平尾龍磨の動機は、施設内での深刻な人間関係の摩擦でした。
平尾受刑者の証言によると、作業場内での厳しい指導や刑務官からの言動に強いストレスを感じていたといいます。特に「刑務官からの指導が理不尽に思えた」「他の受刑者との人間関係に行き詰まり、これ以上ここにいるのが耐えられなかった」と供述。自由を求めて計画的に逃亡したというよりは、突発的な衝動と精神的プレッシャーからの逃避が引き金となっていた事実が浮き彫りになりました。
受刑者同士の連帯責任や規律を重視するあまり、閉鎖的な空間の中で孤立感を深めていたことが、脱走という極端な行動へ駆り立てた要因とされています。