物語の舞台となったのは、荒波が寄せる海上に浮かぶ巨大なレストラン船「バラティエ」だ。腕利きだが口の悪いコックたちが集うこの場所で、サンジは料理のいろはと料理人としての誇りを叩き込まれた。海賊・冒険ファンタジーの壮大なストーリー展開の中で、このバラティエ編は物語の日常感と異次元のドラマ性が絶妙に交錯する重要なターニングポイントとして機能している。
ルフィという破天荒な船長からの強烈な勧誘を受けながらも、サンジは当初、バラティエを去ることを頑なに拒んでいた。彼にとってその船は、命を救われた恩義があり、己の居場所そのものだったからだ。しかし、仲間たちの愛ある脱分策とゼフの静かな後押しによって、ついに彼は己の夢である「オールブルー」を目指す旅立ちを決意する。出航の船の上で、背を向けたゼフからの「風邪ひくなよ」という一言が引き金となり、抑えきれない感情が決壊したのだった。