出版業界において、近年急速にシェアを伸ばしているのがタイパ(タイムパフォーマンス)を意識した短い文学コンテンツだ。長編小説をじっくり読む時間が取れない現代人にとって、わずか数秒で完読でき、それでいて深い余韻を残す短詩は格好のオアシスとなっている。
谷川俊太郎の作品群は、この時代の空気感に完璧に合致している。ひらがなを多用した飾らない言葉遣いは、知識の有無を問わず誰の心にもスッと入り込む。NHKのドキュメンタリー番組やニュース特集でもたびたび取り上げられるように、デジタル疲労を起こした人々が最後にたどり着く癒やしの場として、彼の短詩が再評価されているのだ。