日本において古くから使われてきた「心中(しんじゅう)」という言葉は、本来、男女や家族などの当事者双方が合意の上で共に命を絶つ行為を指していました。相思相愛の男女が来世での結託を願って命を絶つ「情死」などがその典型例です。
一方、頭に「無理」が付く「無理心中」は、相手に死ぬ意思がない、あるいは意思表示ができない状態であるにもかかわらず、一方の都合や思い込みによって強制的に道連れにして殺害し、その後に自らも命を絶とうとする行為を指します。英語圏では「Murder-Suicide(殺人後自殺)」と明確に表現され、本質的には合意なき殺人事件として扱われます。
日常の会話や報道では情緒的に「心中」と一括りにされがちですが、実態は「他者の生命を一方的に奪う行為」であり、被害者側の同意や承諾が存在しない点が最大の特徴です。